帰省、そして衣食住恋
帰省した
夜行バスに乗って地元の駅に着いた
約一年ぶりの地元
僕は自然と懐かしさにひたるものだと勝手に思っていたけどそんなことはなかった
たったさっきまで変わらずこの地で過ごしてきたかのように僕はこの町に馴染んでいた
20年間過ごしてきたこの地が僕にそのような錯覚を引き起こしたのだろう
実家についてからも同じような感じだった
久しぶりの帰省、もう少し懐かしさを楽しめるかと期待したけどそうでもなかった
実家についてまずしたことは、三好サービスエリアで買った土産を両親に渡した
あんまり喜んでなかった
これは、ばあちゃん家に持ってこうと勝手に決められた
その後はお風呂に入った
僕がこの帰省で最も楽しみにしていたイベントと行っても過言ではない
僕の今の一人暮らしの賃貸はユニットバス、しかもフロの床は謎の黒いカビだかコケやらが生い茂っていて、とてもじゃないが湯煎を張ろうという気分にはならない
久しぶりのお風呂は最高だった
今度引っ越すときは背伸びしてでもバストイレ別で追い炊き機能つきの物件に住もう、そう思った
風呂から上がったら正月恒例のお雑煮と、僕の地元の名物のっぺい汁を食い貪った
普段の生活で不足していた野菜に含まれる栄養をそこで補完しといた、なるべく長く持つように
そして録画してあったガキ使でも見ながら
1時間くらいかな、とてつもない睡魔に襲われた
僕は夜行バスで帰省したのだった
ましてや初めての夜行バス、ちょっとした冒険心をくすぐられていた僕
どんなものかと楽しみにしていた僕、決して寝てやるものかと気張っていた僕
結果一睡もせず、夜行バスでの6時間のちょっとした長旅を終えてたどり着いた実家にたどり着いたのだ
お風呂で体も十分い温まり、飯で腹も満たし心も温まった僕の次に行う選択肢は寝ること以外あり得なかった
てなわけでそかこら7時間の昼寝をしてしまった
僕が起きてリビングへ向かうと、誰もいなかった
いたのは犬だけ
犬はもう13歳、ものすごくよぼよぼだった
聞くところによると犬はもう小便を漏らし放題と言うことでリビングの片隅に設置された小さな錯で飼育されていた
犬は僕のことを覚えていてくれてんだろうか、そんな疑問がふと脳裏をよぎる
もうお年寄りの犬、昔は顎のしたとかお尻をなで回してやるとたいそう喜んでくれたものだ
僕は頭と顎の下をなでてやった
あんま喜んでくれなかった
というかものすごい獣臭だった
合う度合う度弱っていく犬、それと同じように老けていく両親
帰省って親に顔を合わせる喜びと、老いていく親を見る切なさのなんというか、なんなんだろう
一人暮らししている間は親のこと恋しくもなんともないけれども、顔合わせてしまうとなにかしら思うところはある
親が生きている内に僕はまともな大人になれているだろうか
親の力なしでも衣食住事足りる生活を送れるようになっているだろうか
そもそも僕は恋愛なんてもの、したことがない
帰省する度にいとこが結婚秒読み、兄貴が彼女と別れたという話をこちらが訪ねていないのに母は語り出す
恋愛もその衣食住に続く第四の人生における不可欠な要素なのではないか
なら僕は衣食住だけで無く衣食住恋を満たす大人になれるのだろうか
衣食住恋を満たしてこそ親は子をみて安心するのではないか
なら僕はただがむしゃらにいきて就職してお金だけ稼いでってだけじゃダメなんじゃないか
恋愛というとてつもない試練にも立ち向かわなければならないのか
そんな不安に駆られた帰省1日目になった
とりあえず変な時間に昼寝しすぎた
今日、寝れるのかおれ